今回は、水溶液の 「中和反応」 について書きたいと思います。
一般に、 小学生に教える水溶液の 「中和反応」 とは、 酸性とアルカリ性の水溶液を混ぜると、お互いの性質を打ち消しあって、 中性に近づくこと (あるいは完全に中性になること) ですが、 図を示しつつ説明するだけでは、 十分に理解できるとは限りません。 つまり、 混ぜ合わせる前の図と、 混ぜ合わせた後の図は、 「水溶液中でどういうことが起きていたのか」 を 「実感」 させるには役不足です。
その理由は、 中和反応の結果、 ほとんどの場合、 塩(えん) と水ができるわけですが、 塩や水ができる 「過程」 がイメージできないことです。
化学分野の場合は特に、 変化の途中の様子 (過程) を示して初めて、 理解にまで到達します。
ここに大きなポイントがあると、 私は確信しています。
入試の出題では、 「原因」 か 「結果」 だけを解答すればよいのが普通です。
例を一つ挙げてみます。
うすい塩酸 (酸性の水溶液) と水酸化ナトリウム水溶液 (アルカリ性の水溶液) を混ぜると、 食塩と水ができます。 グラフや表などが表示されていて、 「うすい塩酸 を □mLと、 水酸化ナトリウム水溶液を △ mL 混ぜると、 何グラムの食塩 (塩) ができるでしょうか」、 という問題があったとしますと、 原因が 「何 mLずつ混ぜると」 であり、 結果は 「食塩の重さ」 に相当します。 原因から計算して結果を導き出す問題です。 但し、化学変化の過程の理解が、 正解を導きだすカギです。
私が常に意識しているのは、 ただ暗記しているだけの知識でなく、 本当にしくみも 「わかっている」 知識にするために取り組むことです。
そのためには、 生徒の目線になることが大切だと考えます。
化学反応が起きている過程を示すには工夫が必要です。 ある化学反応の化学式 (小学生の場合は、 元素記号は使いませんが) を憶えて、 理解しているようでも、 実は水溶液の中の 「変化」 を実感するのは難しいです。 どこまで分って、 どこから分からないのか、 生徒一人ひとりの理解度には個人差があります。 そもそも 「ものが溶ける」 という意味が理解できていない、という場合すらあります。
授業では、 生徒に発言させたり、 「小物」 を利用して化学変化の過程を表現させます。 すると、 どこまで理解しているか手に取るようにわかります。
原因と結果だけでなく、 化学反応の過程の理屈が十分に頭に入ったところで、 実験に進みます。 今、頭の中にある 「しくみ」 を具現化する現象が、 実際に目の前で起きると生徒たちは歓声をあげるのです。
先周に行いました BTB溶液の実験は、 まるでマジックショーを見ているように美しい色の変化を楽しむことができました。 その際、 手に入りやすい材料を使うことが大事です。 ご存知のように、 BTB溶液は、 ある水溶液が酸性 (黄色)、 中性 (緑色)、 アルカリ性 (青色) のどの性質を持った水溶液なのかを調べるために使われます。
さて、 次回のブログでは、 「光」 の授業についてお話しいたします。
トップに掲げたマトリョーシカはいったい何に使われるでしょうか。
この記事へのコメントはありません。