明利学舎の中学受験 理科指導 ②|江東区・江戸川区西葛西、葛西及び東西線沿線エリアで国・私立中学受験ご希望の方へ|Blog

IMG_0878 入試で出題される 「天体」 の問題の大半は 、「地球から見た」 天体の 「動き」 を扱ったものです。 その一方、月面上から見た地球の満ち欠けが出題される場合もあります。 こうした問題を解く場合にも、地球上から観測される天体の動きを十分に理解していることが前提となります。

 授業の導入では、まずは図を使った 説明から始めます。 とはいいながら、よほど星が好きで関心のある生徒か、立体的なイメージをつかむのが得意な生徒は別ですが、地球を含めた天体の動きを理解するのは一苦労します。

そのため、「図で説明」した後の工夫が必要になるわけです。

 天体の動きを問う問題は、大きく2つに分けられます。 一つは、恒星が天球上にじっと止まっているという前提で、地球の自転や公転によって起こる現象 (例えば、季節によって見える恒星のちがい) などを問う問題です。 もう一つは、地球の自転や公転が、太陽・月・惑星の見え方にどのような関係があるかなどを問う問題です。

 天体自体の運動はもちろん、地球の自転と公転という2つの運動の中で起きてくる様々な現象を理解するのは簡単ではありません。 昔から出題されている金星の見え方などはまだイメージしやすいですが、 恒星と火星などの惑星と地球の公転(自転)という3者を合わせた問題も、混乱しやすいですね。

 入試問題はペーパー上に描かれた図 (2次元の図) をもとに出題され、受験生は解答するわけですが、実際の天体は、当然のことながら3次元空間の中に存在するものです。 従って、天体の動きを理解させるには、もとより3次元的なイメージができるように指導する必要があります。

 もちろん、3次元的なイメージ力が必要なのは、理科だけではありません。 どの科目でも必要です。

そのための小さな積み重ねを工夫することが、生徒一人ひとりのイメージ力をアップさせることにつながるでしょう。

 天体観測をする人は、地球と天体の間にある空間(距離)を意識すると同時に、自分が望遠鏡をのぞいている自分の位置も意識しているはずです。 できるだけ3次元的な「体験」を基にして天体の動きを理解させる方法が最も理解を早めるものと言えます。

 ですから、 天体を学習する上で、「地球を手で扱える」 地球儀を使う学習が大いに効果を発揮すると思うのです。

 月面から地球を見たときの地球の姿を問う問題以外には、ふつうは地球から天体の動きを観察するという問題がほとんどですから、地球から天体はどのように見えるかという観点が重要です。

 私の授業では、地球義を使って、地球の動きはもとより、太陽の動き(日周運動・年周運動)や星座の動き、さらには、月食のときの地球の位置と月の位置関係を理解させます。

 そこで、前回のトップにのせた写真につい説明します。

 写真は、生徒が地球儀の上の日本の位置にあごをのせて北斗七星とやカシオペヤ座を見ているところです。 地球儀といいましても、よく見かける 「硬い」 地球儀ではなく、やわらかい材質のものです。ボールに、赤道と日本の絵を描いて使ってもよいかと思います。

 では、どのように地球儀を使うかを、北の空に見える北極星、カシオペヤ座、そして、北斗七星の見え方で説明します。

 まず、生徒をホワイトボードの前に立たせて、地球儀の日本の位置に顎をのせさせます。 北極を北極星に向けさせて、顎を地球儀にのせたまま地軸を中心にして、西から東の方向に、ゆっくり回転させます。 北斗七星とカシオペヤ座がどのように見えるでしょうか ? 時計と反対回りに動いてみえますね。 

 南方向 (ホワイトボードとは逆の方向) を見るときは、今度は日本に頭をのせさせて星がどのような動きをするのかを見せます。南側の星については、座っている生徒達の顔が星という設定にします。 「星役」の生徒達にじっと見守られつつ回転します。 あれこれ、皆で批評し合うのも楽しいものです。 東西方向にある星々に関しても基本的には同様の手順で見せます。

 その他、1か月たったときの同じ時刻に見ると、どの位置に星が移動しているのか、など 「実体験」 させます。 そもそも、「日にちがたつと星の位置が、1日あたり約 1度 移動するよね?」 といったところで、言葉と説明だけでは実感にまで至らないのは事実です。 顎や頭を地球儀にのせることで、地球上(日本)で星を見るのと、同じような体験ができます。

 地球の自転・公転や、星の動きのイメージだけでなく、 季節の変化や白夜、月の満ち欠けなども同様です。

 大人からすると、稚拙に見えるかもしれませんが、小学生は結構おもしろがります。 というよりも、おもしろがらない方が重症(?)かもしれません。

 以上のように、「3次元的な理解」 を体験させましたら、今度はテキストなどで説明されている図と実際に地球義で見た星の動きを比較検討します。 例えば、「3か月も経つと、今まで見えていた星々のメンバーがだいぶ変わってくる」 ことも、図を見て実感できるようになります。

 大人は、地球の自転と聞くと、即座に地球が回っている、というイメージがわいて出るでしょう。

 しかし、小学生は、なかなかそのイメージが出てこない場合があります。 地球儀をやや傾けながら、くるくると回させてみると、西から東へと回っている地球の動きが不思議に思えるようですね。 実際に「地球」を自分の手で動かしてみた子どもたちが、「何で地球って回ってるの?」 と黙考している表情を見ていると、愉快になってきます。 つまり、「あたりまえのこと」 と思っていたことが、よく考えてみると、とても不思議に満ち満ちている、ということを知るだけでもとても貴重な体験ではないでしょうか。 「予め用意されて、与えられるだけ」 の知識ではなく、実際に自分でやってみて感じることこそに感動があるのではないかと思います。

 天体の動きを理解するのが、あまり得意でないお子さんには、特に地球儀を使った方法は有効です。 是非、地球儀を使った方法を試してみて下さい。 いろいろな地球儀のキットが市販されていますので、小さな地球儀でも、北極星に北極を向けるという条件を守りさえすれば、それほど支障なく楽しめます。 あるいは、100円ショップで売っているプラスチック製のボールを利用してもよいかと思います。 その場合は、北極と南極、日本、 そして、赤道を油性ペンでしっかりと描いて下さい。 もちろん、他の国々を描いて見るのも社会の勉強になりますね。

 親と子がいっしょにやるときには、条件が1つあります。 「楽しい雰囲気で」やって下さい、ということです。 親にとっては、稚拙に思えてしまうことも、「真剣に楽しんで」 ほしいですね。 お子さんも本気になること請け合いです。 あまり学力向上という目標設定を優先しすぎますと、楽しめませんのでご注意下さい。

 話しは変わりますが、旅行に行って夏の夜空にたくさんの星々を見られるかもしれないという 「期待」 がありましたら、星座早見を持っていって下さい。 白鳥座わし座、そして、こと座も見えるかもしれませんね。 さそり座のアンタレスは地平線近くで見つけることができるでしょうか。 親子で見つけた星々は、おそらく一生見られる一生の思い出となるかと思います。

 では、次回は、社会の歴史についてお話しします。

 トップの写真はどなたでしょうか。お考え下さい。ヒントは、平安時代に繁栄した○○氏の繁栄の基礎を築いた人物です。

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