中学受験をお考えの低学年のお子様をお持ちの方、または江東区・江戸川区西葛西・葛西及び、東西線沿線エリアで都(区)立中高一貫中(都立両国・白鴎・小石川・桜修館・富士・区立九段)を受験(検)希望の方向けのBlogです。
こんにちは。
明利学舎 公立中高一貫受検コース責任者 鈴木利明です。
前回に引き続き、報告書についてのお話です。
同じ都立中であっても、合否決定の際の得点化は学校ごとに異なり複雑です。
そんな中、報告書点がどれほどのウェイトを占めるのか。
今回は都立中の中でも最上位に位置する小石川中等教育学校について見ていきましょう。
まずは小石川中の合否決定方法です。
【都立小石川中等教育学校・合否決定方法】
検査Ⅰ(読解・要約・作文 都立共同作成)…100点満点→合否決定時200点満点に換算
検査Ⅱ(教科横断型 都立共同作成 ※大問2のみ自校作成問題に差し替え)…100点満点→合否決定時200点満点に換算
検査Ⅲ(理系 自校作成)…100点満点→合否決定時200点満点に換算
報告書…5,6年 計400点満点→合否決定時200点満点に換算
要するに、受検日当日の検査得点(テスト結果)は2倍に、報告書点は最終的に2分の1にされ、計800点満点で合否が決定される訳です。

都立中報告書例
さて、ここからが本題である報告書点についてです。
写真は出願時に担任の先生に作成してもらうことになる報告書の見本になります。
※各都立中HPからダウンロード可能ですが、千代田区立九段中等教育学校の場合は4年時からの報告書となるため、写真のものとは別様式となります。
各教科とも学年ごとの観点(教科ごとの項目別評定)から学年評定(その学年の教科評定)が決定されます。
・観点
A(よくできる)
B(できる)
C(もう少し)
・学年評定
3(よくできる・Aが過半数以上)…25点
2(できる・AとBのみでAが過半数に届かない)…20点
1(もう少し・1が過半数以上、正直これがあると合格は厳しいです)…5点
※3と2のボーダーに関しては、写真の赤字部分をご覧いただけると分かり易いかと思います。
3と2の差を考えるとこの時点では5点差ですが、最終的にはその2分の1で2.5点差が付くことになり、検査得点はいずれも100点満点が2倍されますので、覆すには1点多く取るだけでは足りず、2点多く取れば1学年1教科の差を覆せることになります。
仮に5年も6年もオール3の生徒さん(A君)がいた場合…
25点×16個=400点となり、それを2分の1にして200点(満点)となります。
計算がシンプルで換算も楽です(笑)。
では、例の写真の生徒さん(明利君)はどうでしょうか。
彼の報告書には、3が10個、2が6個ありますので…
25点×10個+20点×6個=370点となり、それを2分の1にしますから185点です。
2人の差は15点。
小石川中は検査得点(テスト結果)が2倍になりますから、明利君が検査得点でA君より7点多く取ったとしても14点で1点届かず、8点多く取ってはじめて16点となり覆すことができます。
この差は大きいのか小さいのか…
都立最難である小石川中において、はっきり言って大きいと思います。
「逆転不可能な差」とまでは申しませんが、合格ラインすれすれの学力で勝負される生徒さんにとっては相当厳しいですし、学力に余裕のある生徒さんであっても、報告書点が十分に取れていないならば不合格も大いに有り得ます。
特に何が出るか読めない適性検査での一発勝負…普通の入試問題以上に何が起こるか分かりません。
※適性検査の難しさについてはいずれご説明いたします。
当教室でも実際に、模試の偏差値が常時70オーバーだったとしても、苦汁をなめることになった生徒さんを何人も見てきました。
今後、両国中、区立九段中についても同様の記事をアップするつもりでおりますので、その際にもご説明いたしますが、実は小石川中は他校と比べても評定2と3の差が付きにくい学校です。
つまりは学力で逆転できる可能性が他校と比べ高い訳ですが、それ故に、私立併願組の高学力層のお子さん達が合格しやすい学校とも言えるでしょう。
とは言え報告書が重要であることは紛れもない事実。
その点はご理解いただけたのではないでしょうか。
以上、今回は報告書点の重要性をご理解いただくため、敢えて報告書で差の付きにくい小石川中を例にご説明致しました。
学力だけではなかなか勝ち切ることの難しい都(区)立中受検。
少しでもご理解いただけたなら幸いです。
次回は、小石川中以上に報告書点の重要な都立両国高等学校附属中学校と区立九段中等教育学校を例に挙げご説明させていただきます。
この記事へのコメントはありません。