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受験算数で極めて重要な ”割合”、その本当の理解のために何が必要か
前回、中学受験の算数では、割合そのものの理解と習熟が重要だと指摘しました。
そこで今回は、受験算数での ”割合の様子” をご覧いただきましょう。
まず、実際の入試問題から1問取り上げます。修道中学(広島県)の問題です。皆さんも是非挑戦してみて下さい。
例題
容器に入っている水をはじめに12L出し、次に残りの 1/8 を出したら、はじめの半分になりました。
はじめの水の量は何Lありましたか。
どうでしょう、なかなか難しかったのではないでしょうか。
普段算数と接点のない(大多数の)大人の方の中には、降参なさる方がいても不思議ではありません。
もちろん、サクッとお答えになる方もいらっしゃるでしょう。暗算で答えを出せる方の多くは中学受験を経験されたか、算数が得意だっ
た方だと思います。なお、本問は受験算数では ”基本レベル” に分類される難度です。
派遣講師の挑戦 何故大人が解けないか
ちなみに、この問題、昔当教室に来てもらった派遣講師(当然大人)に挑戦してもらったことがあります。
時期はバラバラですが、3人に出題して3人とも解けませんでした。
全員それなりの大学を出て、しかも全員理系です。
前述のように、この問題は ”基本レベル” もしくは ”標準” の難度です。
いわゆる ”大人でも解けない難問” というのと全く違います。
ですが、塾で教えるのを職としている大人が解けません。
何故でしょう?
上掲の例題自体をお考えいただいたあと、そして解説をお読みになられたあと、是非この問題(何故大人が解けないか)も考えてみてく
ださい。
なお、派遣講師は中学生指導の応援に来ていただいた方々です。中学受験の算数の問題が解けないのは、たとえそれが基本レベルであってもむしろ当然であることを念のため記しておきます。
例題の解答
さて、この問題は中学受験業界で ”相当算” と分類されます。しかし、広くいえば割合の問題です。
ここで試されるのは下記2点です。
- 割合の理解と習熟、とくに ”(数値の背後にある)実体イメージ” を掴むよう訓練してきたか否か。
- 線分図での整理力。
では、解答です(大人向けです。生徒向け指導とは異なります)。
(1)問題文中の ”半分”、”1/8″ に注目します。なぜなら、割合は全体の絶対的な大きさが不明でも、具体的に大きさを表現できるからです。
最終的に半分残った、のですから、まず下図のように整理できます。
(2)12L出した後、残りの 1/8 を出したら上図になった、ということは、最後に残った水量は、”山の7つぶん” になります(下図)
ここがポイントですが、 1/8 を、 ”(ある大きさを)8個に等分したうちの1個分” と捉え(”山の感覚”)、表記として”8″”7″”1″など整数を使用します。
(3)はじめの12L、その線分図上の大きさがここで決定されます。
(4) したがって、
となります。
中学受験の入試問題の、ある一つの面を代表する問題をご覧いただきました。
”1 / 8 はちぶんのいち ” を ”(ある大きさを)8個に等分した1つ分” として捉える、具体的な感覚を持って捉える、そういう
訓練が必要だと感じていただけたのではないでしょうか。
理想は、
です。
派遣講師の挑戦 何故大人が解けないか 解答編
さて、大人が解けなかった、その理由です。
3人に共通していたのは、 1/8 をそのまま分数で表記していたこと。
1/8 が 単なる記号、単なる演算対象に過ぎなくなってしまったのでしょう。
大人にとって 1/8 は、どうということもない、ありふれた分数ですが、きちんとそのイメージ、その実体、分数が表すその意味内容を具体性をもって理解している人はいなかったようです。
1/8 を、具体性を持って”脳内で視る”、1/8がどういう大きさなのかきちんと理解する、そういう訓練を受けていないと
微分積分ができても小学生の問題が解けないのです。
なお、3人のうち1人は中学受験経験者でした。どこに通っていたのと訊ねると某大手集団指導塾とのこと。正直いって、さもありなん、と思ってしまいました。
普段の授業で、最高の理解を目指す
入試問題がこんな風ですから、普段の授業でも、”山の感覚”は大切にしています。
例として、市販の問題集から割合の問題と明利学舎の模範解答を挙げましょう。
なお、”問題集” は、一般書店で容易に入手できる受験算数のロングセラー、「ベストチェック」、頁は 71です。
あるクラスの人数は45人です。このクラスで虫歯のある人は80%で、そのうちの25%が近視です。
(1)虫歯のいる人は何人ですか。
(2)虫歯で近視の人は何人ですか。
解答です。
(1) 80% = > 4/5 と分数倍に変換するのが良い。
45人 × 4/5
= 9 × 4
= 36(人)。
ここで、 ”45 × 0.8 = ” と 小数のまま計算(筆算など)するのは望ましくありません。
理由として、
- 分数にすると九九レベルで解ける。筆算する必要がない。
- 具体的な大きさの感覚(”山の感覚”)を養うのに分数倍の方が優れている。
- 筆算は美しくない。
などが挙げられますが、
とりわけ重要なのは 2点目です。
前出修道の問題であったように、具体的な大きさの感覚(”山の感覚”)を身につけるのが、中学受験で算数を学習する大きな意義といえ
ますし、そもそもそうした感覚がないと解けない(前出修道のような)問題が沢山あります。
(2) ブログ2回目で取り上げた 25 % = 1/4 を使います。
36 × 1/4
= 36 ÷ 4
= 9(人)。
割合が5年生の算数で重要なのは、ほかの単元の土台となるからです。いつかお伝えいたしましょう。
積分で。。。
以下脱線です。
以前、地方のトップ高校を出て国立大学を卒業し、当時は某国立大学大学院で研究生活(理系)を送っていた方がいました。
指導の補助をしていただいていたのですが、あるとき、ある問題に詰まってしまいました。
小学校5年生用補習教材(受験用教材でない)中の、平面図形の求積問題です(下写真)。色かけ部分の面積を求めよ、です。
生徒の傍らに立って思案している風でしたのでどうしたのかと確認すると、この問題をどうしたらよいか、とのこと。まあ、解けない、というなのですが、そのときの呟きが、
” 積分を使って。。。。”
半ば以上真面目に言っていました(笑)。
面白くて、印象に残っています。
なお、明利学舎では、解説の冊子類を携えてそれを参考にしながら授業することはありません。講師は受験算数を自分のものにしていますから、解説冊子は必要ないのです。解答だけは確認(○つけなど)用に持っていますが。
*この問題は、色かけ部分(四角形)を対角線で分け、2つの三角形に分割してからそれぞれを求めます。こたえは、33平方cmです。
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