私は地理の授業においても、 「考えさせる」 ことに重点をおいています。 それぞれの都道府県の 「魅力」 を知り、 身近に感じてほしいと思いつつ、授業を行っています。 そのため、 理科と同様質問がたくさん出てきます。
ポイントを絞ってお伝えします。 例として、 鳥取県を取り上げます。
人口減少 (人口は全国最下位) と少子高齢化に悩む鳥取県ですが、 行政サービスの低下を心配する声もある中、 「ゆったりと時間が過ぎていく」 生活を愛する鳥取県民も多くいます。 今年の5月、カフェの 「スターバックス」 が初出店したことがニュースになったのをご記憶の方も多いと思います。
鳥取県で受験に向けて憶えてほしいのは、 以下のことが挙げられます。
中国地方で最も標高の高い大山 (伯耆富士, 中国山地に属する) 、 全国有数の水揚げ量を誇る境港 (タラバガニの水揚量は全国トップ)、 因州和紙、 日本最大級の砂丘である鳥取砂丘、 農作物では、 らっきょう、ながいも、日本なし、スイカなどの生産が盛んであること、 などです。
他にも、市の数が 4市であり、 全国一少ないこと、 製造品出荷額が45位であることも頭に入れておく必要があります。
ここでは、 鳥取砂丘と因州和紙を取り上げて説明します。
生徒が興味を持つことが多いのは、 鳥取砂丘です。 まず画像で、 畑作用のスプリンクラーが設置されている砂丘の農作物を見せます。 らっきょうやながいもなどの生産が盛んであることを知ると、 「砂漠 (?) でながいもがとれるの? 砂に埋まっちゃうんじゃないですか?」 と驚いたり、 不思議そうな顔をします。 待ってましたとばかりに、 ここからは理科の話しにも触れて土と砂の違い (もちろん、砂丘地域とはいえ、 砂で栽培しているわけではないですが) に注目します。 なぜスプリンクラー が日本で初めて取り入られたのかも、 皆で考えます。 今年の5年生からは、 なぜ観光地である砂丘の真ん中で農作物を作っているのか、という質問も出ました。
砂丘にはラクダが 「います」。 観光客のために飼われているのですが、生徒たちは興味津々です。 かつての生徒がラクダに乗ったときの話しを聞いていたので、 生徒たちに話してあげると、 皆、頭の中で 「月の砂漠を進むキャラバンのラクダ」 にまたがる自分を想像して(?) 盛り上がります。 そこに他の重要事項を関連付けて授業を進めていきます。 「鳥取」 と聞くと全てが映像のように思い出されるようにするのが理想です。
もう一つの因州和紙についてです。
伝統的工芸品の和紙はあまり普段目にすることはありませんが、 因州和紙は全国一の生産量です。 東京の浅草寺雷門 (総門) にかかる大提灯にも使われています。 軽くて丈夫なのが (門にかけるには当然軽い方がよいので) 特徴です。 今年の生徒は、 全員が和紙を知っていました。 例えば、 古い物を大切にとってあるお宅や、 昔からの風習を続けているご家庭 (祖父母の所が多い) の生徒は伝統工芸品について良く知っている場合が多いです。 大提灯を知らない生徒もいますので、 その時は映像を見ます。 時には、 提灯をどうやってつくるかという質問も出ます。 お祭りの提灯、 居酒屋の提灯、 それに盆提灯もありますが、 「提灯は見たことはあるけど、 どうやって作っているのか知りたい」 というのです。 提灯は理科の 「ばね と てこ」 にも関連していますので、 少し理科の話題にもなります。 近所にある提灯屋さん(?) の家内工業的な様子を身振り手振りで実演しながら、 鳥取県の提灯つくりの伝統を画像を見たりします。 さらには、 お寺の門に興味を持つ時もあり、 後に 「歴史」 で入試に頻出する東大寺南大門の話題につなげてもプラスになります。
何に関心を示すかは、その時々の生徒によって異なります。 最も興味がわき、 関心の高い話題を 「核」 にして、 できる限り県の魅力を余すところなく生徒の頭 (心) にインプットできるかを目標としています。 関心を持ったことは面白かったイメージと共に知識が脳に刻まれ、 忘れにくくなります。 そして、 これが最も重要だと思うのですが、 地理が好きになるというおまけまでついてくると思うのです。
さて、 前回のブログのトップは、 広島県の福山市の鞆の浦です。
福山市は、 広島市と岡山市という中国地方の二大都市 (政令指定都市でもある) のほぼ真ん中あたりに位置しています。 盛んな産業としては鉄鋼が有名です。 受験用のテキストでは 「鉄鋼」 のみが特徴として挙げられますが、 しかし、 瀬戸内工業地域内のみならず、 例えば関東内陸工業地域の自動車部品産業との結びつきもあるなど、 技術力の高い企業が多く存在するという都市です。
特に難関中学を受験する場合、 大都市以外にも特徴的な都市の特徴を掘り下げて知ることも必要です。
では、 次回は理科について書きたいと思います。
トップに掲げた写真は、どのような実験をしているでしょうか。 お考え下さい。
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