中学受験国語の勉強はいつから始めるべき?

 中学受験に向けた国語の勉強はいつから始めれば間に合うのでしょうか。明利学舎の実態を聞くと「6割の親御さんは小学1年生や2年生の段階で、中学受験にチャレンジさせたいと明確な目標を持って当塾にいらっしゃいます」(明利学舎塾長の鈴木明男さん)と話します。

 そのため、明利学舎でも低学年の子を受け入れるために専用のカリキュラムを作っていますが、男子は小学3年生、女子は4年生から始めても十分間に合う子と間に合わない子がいるとのこと。男子の方が1年早く始めた方が良い理由は、基本的に男子より女子の方がしっかりしていて精神年齢も2、3年成長が早く、理解度が高く自己管理能力も高い傾向にあるからです。3年生や4年生でもキャッチアップできるそうなので、低学年を過ぎてしまった家庭も諦めず、塾に相談してみましょう。

国語が苦手な子の特徴

 国語が苦手な子にはどんな特徴があるのでしょうか。国語の成績が思うように伸びなかったり、予定通りに学習を消化できなかったりするときは、基礎的な力が抜け落ちているのかもしれません。

語彙力が足りず、文章をしっかりと読めていない

「国語の学習は、知っている言葉をどれだけ増やすかが勝負です」(鈴木さん)。言葉を一つずつ確実に覚えて、「語彙の貯金」をいかに積み上げられるかが非常に大切です。

 国語の試験では長文を読み解く能力が求められますが、そこで成績が伸びない子は語彙力が足りず、単純に書いてある言葉が理解できていないということです。語彙力という土台があった上で、初めて文法や読解の力が乗ってきます。国語の成績が気になる親御さんは、最初に子どもがしっかりと相応の語彙力を身につけているかをチェックしましょう。

時間配分が間違っている

 国語が苦手な子どもは、模試でも最後の問題までたどり着けずタイムアップになってしまうケースも多いのではないでしょうか。得点を伸ばすためにも親としては、「わからなければ適当なところで諦めて、解ける問題を効率よく消化してほしい」と、もどかしくなることも少なくないはず。

 鈴木さんに対策を聞くと、「当塾では試験の時間配分について、こちらから指導することは特にありません」と回答が。しかし時間配分がうまくいかない理由については、「必ずといっていいほど語彙力不足に起因しています」(同)と指摘します。語彙力が足りず、問題文を読むのに時間がかかってしまえば、それだけ解答する時間が削られてしまいます。「この時間までにここまでは終わらせよう」といったテクニカルな攻略法よりも、まずは余裕を持って問題文を読むため、語彙の貯金を増やして自力をつける必要があるでしょう。

活字に苦手意識がある

 国語の力を伸ばすためには、土台となる語彙力が重要です。当然、本や新聞などで目にする活字に苦手意識があれば、言葉に触れる機会が減り、日常生活の中で語彙力を増やすチャンスも失ってしまいます。

 例えば、親が日頃から本を読んでいる様子を見せることも大切です。難しい本を無理して読む必要はなく、自分が好きな趣味の本で構いません。楽しそうに読んでいれば、子どもは親の行動自体に興味を持って、本に親しみを持ちやすくなります。「親がよく本を読む家庭の子どもほど、活字に苦手意識が少ないということは確信をもって言えます」(同)

中学受験国語の最近の出題傾向

 最近の中学受験における国語の出題傾向はどうなっているのでしょうか。偏差値が65~70クラスの学校ではいくつかの変化が見られます。

思考力を問う問題が増えている

 近年、首都圏模試の偏差値が65~70クラスの学校では、国語を通じた思考力・判断力・表現力を問う問題が増えてきています。偏差値が40~60クラスの学校ではまだ見られない傾向ですが、学校のレベルによって問われる力が異なる点は、塾の先生に問い合わせたり過去問をチェックしたりしながら押さえておきましょう。

計算・図表の問題が増えている

 これも偏差値65~70クラスの学校で近年見られる傾向。グラフを読み取る洞察力や計算・図表を交えた問題を通して、自分の見解をまとめる力が求められています。

 思考力を問う問題も含めて、このように入試の傾向が変化している理由は、大学入試の影響があります。大学入試でも近年は、思考力や判断力、表現力を問う問題が増えてきました。そのため偏差値が高い学校は、「入学試験の段階で将来の大学受験を見据えて、それらの力を有する受験生を見極めている」と鈴木さんは分析しています。

中学受験国語の勉強法

 ここでは中学受験で必要な国語の具体的な勉強方法について解説していきます。

漢字・ことわざ・慣用句の勉強法

 漢字・ことわざ・慣用句といった覚える必要がある勉強は「口に出しながら書いて覚え、小テストを繰り返すのが基本です」と鈴木さんは言います。口に出すことで頭の中に定着しやすくなり、イメージも深まりやすくなります。最後は小テストで理解度のチェックを行い、覚えられるまで繰り返しましょう。

読解・記述問題の勉強法

読解問題と記述問題は、セットで考えましょう」(同)。まずは、低学年のうちから語彙の貯金をひたすら増やした上で、主語や述語、動詞、形容動詞等の文法学習を行い、そして覚えた語彙を用いて、短文作成のアウトプット学習に取り組みましょう。

国語を伸ばすなら親子での会話も大事

 国語の力を伸ばすためには、親子での会話も欠かせません。その日にあった出来事や学校のことなど、話題は身近なことで構いません。

 また、会話をするときには「あなたはどう思う?」と子どもに問いかける習慣を作りましょう。「自分の力で考えることは物事を想像する力やイメ―ジ力の錬成になり、問題に解答する文章の構成を考える力にもつながります」(鈴木さん)。

 これは本についても変わりません。読んだ内容を親が聞くことで、子どもは流し読み、飛ばし読みをしなくなり、不明な語彙があれば親に尋ねるようにもなります。

中学受験の国語に使えるおすすめ問題集・参考書

 最後に、国語の学習をする上で、おすすめの参考書を教えてもらいました。

『論理エンジン』

「教育業界で知らない人はいない」と鈴木さんも話すポピュラーな教材。物事を論理的に考える思考回路が作れる問題構成で、論理立てて文法を考えられるように設計されている。

『語彙力アップ1300』

 短い例文を見て自分で短文を作成するアウトプット学習ができる参考書。その日までに学んだ累計の語彙数を把握できるのもポイント。

『ろんりde国語』

出典:都麦出版

 国語力と論理的思考力育成に効果的。主語・述語・助詞・接続語・指示語の学習を兼ねた短文例題や問題プリントも多く、記述力が身につく。

『読書ワーク』

 株式会社理究が運営する「ことばの学校」が開発してきたオリジナルカリキュラム・教材の一つ。

 本の朗読音声を速聴・速読で聞きながら黙読及び音読することで、楽しく語彙のインプットを行う中で、本が大好きになり、語彙力・読解力をアップ。読書後の準拠ワークを通じて、語彙力や表現力を育てられる。対象は小1~3。

 全国の「ことばの学校」の加盟校では、この『読書ワーク』を用いて学ぶことができる。

中学受験国語についてまとめ

 鈴木さんの話を伺っていると、国語における語彙力の重要性を痛感しました。明利学舎に通う生徒の親御さんは、我が子が読んでいる問題文を見て「こんなに難しい文章を読んでいるんですか?」と驚く人も多いそう。大人でも知らない言葉が交じる文章に子どもが苦戦するのは当たり前です。

「たくさん聴いてたくさん読むことが語彙力アップの心臓部」と話す鈴木さんに伺った学習方法や問題集や参考書を参考に、しっかり基礎的な力を身につけて読解や記述などの応用学習に向き合いましょう。